せまい脳内行ったり来たり/放浪編

もはや主にTwitterのまとめだったのに、2018年9月で途絶えている…。

ひえええーー

 見ている間、そうつぶやきっぱなしでした。
 「霧の中のハリネズミ」「話の話」などで知られるノルシュテインの来日を取材したETV特集の再放送を見ました。ノルシュテインが審査員を務める日本のアニメ大賞の選考を兼ねての来日だそうです。
 この番組で初めて知ったんですが、ノルシュテインってもう24年もゴーリキーの「外套」のアニメ化に取り組んでるんですね!途中でやむを得ない事情で中断した時期もあるようですが、それでも環境が整えばまた続きに着手する、その根気にひえええーー。24年なんてほぼ四半世紀です。そんな昔のこと、わたしだったら覚えてられません。何やりたかったかも思い出せない忘却の彼方です。だけど、ノルシュテインはそのころに「外套」を作ろうと思い立った気持ちを忘れずに今も制作に取り組んでいるのです。ひえええーー。
 来日したノルシュテインは、賞の仕事ばかりをしているわけではありません。自作の表現を深めるために一茶や芭蕉が句作をした場所に赴き、その心を尋ね、寺の住職に勧められて座禅を組みます。「初めての方でこれほど動かない人はめずらしいです」と住職。「工房で制作に打ち込んでいるとき、ただそれだけに心が向いていきます。あれと同じ心境になるのだと思いました」とノルシュテイン。アニメの制作が無我の境地に至るのです。その集中力と情熱にひえええーー。
 イッセイ尾形の一人芝居には、一人の人間が何役もを演じ分ける表現力を学びに行きます。人形アニメ死者の書」に取り組む旧知の川本喜八郎の元を尋ね、互いの作品について語り合います。賞に応募してきたアニメ作家たちと合宿みたいなことをして、痛烈なくらいのアドバイスをします。
 なんか、滞在時間全てが勉強って感じ。作品をより深く作るための勉強。
 最後はもちろん、高畑勲さんの登場です。「話の話」の解説書まで書いた方ですから。
 「外套」はようやく半分までこぎつけたところで、これからいよいよ後半の転換部に取りかかるのだそうです。その表現が大変難しくなやましいのだとか。いったいいつ完成するんでしょう…。ご本人も「死ぬまでに完成させられないことを思うと不安になるが」なんておっしゃってます。でも、作る楽しみはそれに勝ると。

 もう仙人というか、商業ベースのアニメの制作者と違う地平にいる方だなあと。語られる言葉が重くて、一時間半の番組を見終わったらお腹いっぱいになってしまいました。
 人生は死ぬまで勉強!なのかも。

※文中のセリフは私の超訳なので、解釈違いもあるかもです。