せまい脳内行ったり来たり/放浪編

もはや主にTwitterのまとめだったのに、2018年9月で途絶えている…。

トポロジーは穴の数

 別に先日の日記のシリーズというわけじゃないけど。
 BShiでやったとき、体調悪くて半分しか見られなかったハイビジョン特集「数学者はキノコ狩りの夢を見る〜ポアンカレ予想・100年の格闘」が110分を60分に大幅短縮し、地上波にて放送したのを見ました。「100年の難問はなぜ解けたのか・天才数学者 失踪の謎」と改題されたその番組は、数学とかトポロジーとか全くわかんない門外漢の私でも非常にわかりやすくすげいおもしろかったです。ちゅーか、110分版はもっとわかりやすかった気がします。見る気力がなかったのがつくづく残念。
 「なぜ解けたのか?」というタイトルですが、おそらく私含め視聴者にはポアンカレ予想なるものやトポロジー、どころか学校で習ったはず数学ですら記憶おぼろな人がほとんどと思われるので(思いたい)、細かい解題はしてません。ざっくりざっくり、解けたこととそのキーになった考え方を紹介しているだけです。(私には想像するしかないけど、トポロジー最大級とも言える問題をもう古いと言われつつあった微分幾何学に物理学を複合して解かれるというのは愕然となる事態だったんでしょうね。解かれてもトポロジー主体の研究者には意味わかんない! なんて熱烈な片思いが激しく玉砕するようなもの)
 宇宙の形はどれほど複雑であるとしても概ね八つの形の複合になるはずだ、なんて予想出された時点で、凡人は脱落してもゆるされましょう?
 見終わって私の脳に残った知識は「トポロジーと穴の数」くらいのものです。(情けなし!)
 この番組でおもしろかったのは、もちろん私にとって未知の世界だったトポロジーや数学に関する部分だったんですが、それに取り組む数学者たちの姿というのも興味深かったです。というか、おそろしいほどの情熱過ぎて怖い! ある数学者はポアンカレ予想が解けるまではと結婚を考えていた恋人と別れ、ある数学者は十年上の時間を費やした末ポアンカレ予想の研究から降りてしまう。数学界の天才と言われた人々が何人も問題に立ち向かいながら矢折れ力尽きていくのです。そして、21世紀になり100年の難問を見事に解いたペレリマン博士は、数学者の栄誉であるフィールズ賞を辞退、ポアンカレ予想解明者に送られる賞金も受け取らず、社会から縁を切った事実上隠遁生活を送っていると言います。まだ41才だというのに!
 知識の限りを尽くした頭脳の戦いは、何か別の次元に人を連れていってしまうんでしょうか。集中力と情熱と、人生の何もかもをつぎ込むのが惜しくないほどの美しさが数学には潜んでいるらしい。(番組に出てくる数学者たちは時折崇拝するように、完璧な美しさという言葉を口にする)
 私には理解できないすばらしい世界を知っている博士たちをうらやましく思う反面、身のほどに合った平凡な生活に満足できる自分にほっとしたりもして。
 10/23の深夜というか、10/24の早朝(?)というか、日の変わったくらいの時間帯に再放送があるので、興味を持たれた方はぜひ。私は完全版の再放送を週末にやってくれないかなーと祈っております。