せまい脳内行ったり来たり/放浪編

もはや主にTwitterのまとめだったのに、2018年9月で途絶えている…。

「魔法にかけられて」を見る

 去年予告を見てからちょい楽しみにしていた「魔法にかけられて」を鑑賞。
 子どものころ、夏休みの定番の娯楽と言えば東映まんがまつりかディズニーのまんが映画だった世代なので、ディズニー映画のパロディ満載・しかも自社制作という自虐性が「やるじゃん、ディズニー」という感じで。「美女と野獣」あたりで一瞬復活した後低迷しまくり(わたくし視点)、ついにはセルアニメは止めて全面CG化なんて迷走したあげく、子会社にしたピクサーにアニメ制作の神髄っぽいところの音頭取りをされてる感のあるディズニー。(確かピクサージョン・ラセターが指揮してるんじゃなかったっけ?)ぶっちゃけ、ピクサーブランド以外のディズニーのアニメ映画にはすっかり期待しなくなってます。
 そんな映画作りに硬直感のあるディズニーが、分類的には(たぶん)実写映画とはいえけっこう野心的な題材の映画を撮るなんてねえ、とエラソー視線で見に行ったのですが、なかなかいい映画でした。ちゅーか、かなり観客の間口が広めのおいしい作品じゃないでしょうか。パロディを含んでいるのでべたべたの甘甘映画が苦手な男子でも見やすいし(相方も一緒に見に行って、けっこう笑っていた)、元々がディズニーのお姫様映画のパロディだから、おとぎ話の世界から来た善良な娘が最後にしあわせを得るという予定調和なエンディングでもこっ恥ずかしくない。自虐パロをやっているといってもそこはディズニー、品のよいところでまとめているのでお子様でも安心して見られます。辛口の映画評論家には切り込み方が甘いと評されそうだけど、一般人が楽しむにはこのくらいが後口がよくていいかも。お勤めに疲れた女性が仕事帰りに見ると、ほどよくハッピーな気分になれそうです。上映時間も100分ちょいで平日見るには良心的だし。
 劇中歌がアラン・メンケンでディズニーらしさを盛り上げてます。
 一つ残念だったのが、自分の英語能力が極めて低いこと。きっと字幕にしきれないネタがあちこちにつまってるんですよ、この映画。ヒロインが食事に行くイタリアレストランの名前が「ベラ・ノッテ」なのは字幕に書かれてるからわかるけど(「ベラ・ノッテ」は「わんわん物語」の有名な劇中歌)、きっと他に気づかない細かいネタがいっぱいあるんだろうなと思うとほんともったいない気分です。
 あとね、王子! 王子、かわいそうだよ、王子! おとぎの国からなんの迷いもなくヒロインを救いにこの世界にやってきたのに、酬われないんだ。(役者が「X-men」のサイクロプスなのもなんとなくかわいそう度アップ。映画の「X-men」ではすっかりウルヴァリンにお株取られてるし)さすがおとぎの国の王子だけに、裏がなさすぎる「いい人」っぷりが空振りしまくり。一番大事なところであの扱いだし。彼にはしあわせになってほしいです。ちゃんとしあわせになりそうなオチがついててよかった、よかった。
 ちゅーか、私は見栄えが「王子」だけど思いっきりバカってキャラに弱いのだな。「プリンセス・ブライド・ストーリー」のウェスリーとか(リンク先のあらすじは何やらウツクシイ物語になってるけど、映画本編はまじめなバカ映画なのでストレートにロマンチックな内容を期待するとはぐらかされます)「スカイキャプテン」のジョーとか。
 得るものはきっと何もない、人生の深みとは縁の無さげな映画ですが、こういうまぢめに手堅く作ったアホ映画、私は大好きです。