せまい脳内行ったり来たり/放浪編

もはや主にTwitterのまとめだったのに、2018年9月で途絶えている…。

「009 RE:CYBORG」博多T・ジョイ舞台あいさつレポートとか

 先月から続く本体、および周辺のあれこれへのお布施に年末の宴会出費が重なって財布が流血の大惨事なのであり、体力的にもとても「ム・リ!」と泣き言を言って撤退するつもりだった神山監督の「009 RE:CYBORG」凱旋舞台あいさつ、行ってまいりましたよ…。地元でこれだけのネタがあるのに見過ごすのか? という内なる芸人魂に連日根性を蹴り飛ばされまして。ネットでチケット買えるというのも大きな罠ですね。夜中の出来心を止めるものが何もありません。もう今月は経済にビタ一文の余裕もない…。

 とゆーよーな大人とは思えぬ私事は、たぶんこの文を読んでる方にはどーでもいーことなのでありましょう。
 公開から一ヶ月を越えての舞台あいさつということでちょっとはネタバレな話も漏れ出るのでは? と期待する向きも多かったであろう、いや、何より私が期待していたわけですが、端的に言うとその辺の話題はさしてなかった、のが実情です。まず冒頭で種明かしをしときます。
 上映は19:30からということで、座席指定チケットだからとちょいと腹ごしらえしてふにゃふにゃ劇場へ行きますと、さすがイベントつきの上映回だけあって客の集まりが早い! 真ん中あたりの席を取っていた私は着席済みのたくさんの方々をかき分けて座ることに。ああ、この十番シアター、先週末にも来たわ…(涙)。あのときこのイベントのことを知ってたら、繰り越してたのに…。入り口入るとコスプレな係員さんや照明・音響のスタッフさんがいて「???」と思ったけど、監督の登場は上映後ではなく前だったんですね。考えてみれば終わるの21:30近くになるし、そんな時間に働いていただくのは、製作中は貫徹とか昼夜なしとかって生活をされている神山監督でしょうが、あんまりというものでしょう。<ちゅーか、公式に上映前って記載があったよ…。
 映画見る都合とあいさつを聞く都合を両天秤にかけて決めた席ですが、小さめのシアターなもんでちょっと前過ぎたかなとスクリーンを見上げていると、スポットライトがスクリーンそでを照らして神山監督登場。司会は、えーと、どなたでしたっけ。ニコ動のイベントとかでも拝見した方のような気もするし、とにかく何かと共にイベントを乗り切ってきた仲の方のようで、すっかりあうんの呼吸という感じのやりとりでした。
 スポットライトで視界を奪われた監督の「客席が見えないんですよ…」というぼやきとともに発せられた「今回、初めて見に来られた方」という質問に、結構手が上がっててっきり全員リピーターだろうと思ってた私には意外な驚き。もしかしてたまたまチケット予約した回がイベントつきだった、って人だろうか。値段同じだし。続いてリピートの方はどれくらい? という問いにはざっと見て半数以上の方々が挙手。5回以上という方も結構いて、会場で一番多かった人は9回だったかな? 皆さん、すごいわ…。かく言う私もなんだかんだで四回目になっちゃってますけど。
 というわけで、会場に初見の方がいる以上派手なネタバレはやれないのでして。
 最初は3Dでの映画製作という話が続きました。海外でも009の3D画面の作り方は注目されてるとかって話題。今はまだ3Dでの絵作りに「これ!」といった正答が確立しているわけでもない、手探りでみんなが調整してる状況で(たぶん飛び出しと奥行きのどっちに重心置くかとか、深度がどのくらいが観客に快適かとか試行錯誤が続いてるってことなんでしょう)、その中で009は非常に見やすいと評価されてる模様。監督が言われるには3Dにするには二枚の絵を角度をつけつつずらして配置するのだけど、このとき身体の裏側とかの余計な情報がズレで見えてしまうと目に刺さる感というか見辛さが出るらしい。(<うろ覚えです)3Dの調整作業で極端に下がった監督の視力は、現在かなり戻ってきているとのこと。
 先日行われたシンガポールや香港での海外イベントでは、まだ一般の方には見てもらってないもののメディア関係者にはなかなか好評で正式な上映が期待されてるそうです。そして、8の人の能力はなんなんですか? と非常に興味を持たれたという定番のネタを。ああ、8さんの影の薄さってばすっかりお決まりのネタ振りになりつつあるよ…。スカイウォーカーサウンドでの音の収録の話もありましたが、そちらでも8さんは何出来る人か? と問われたとか。もし次の機会があったら、出番増やしてもらえるよ、きっと…。>8さん。
 009の話ではありませんが、海外での取材で最近定番で聞かれるのは「今の萌え主流のアニメ製作状況をどう思われますか?」だそうです。神山さんの作風が好きな人は、たぶん萌えじゃないアニメをもっと見たいという方向性なんでしょうけど、それがなかなか満たされない昨今の日本の新作アニメの傾向に飢えを感じているのかも。「僕自身は萌えアニメもいいと思うんですが」と監督は言われてましたが、神山プレゼンツの萌えアニメってあったらどうなんでしょうね(^^;)。

 画面や音の技術的な話は、公開前からそれなりに露出していたものなので。公開後だから聞ける話は、終盤に差し掛かっての観客からの質問タイムでの返答に集中しました。と言っても、未見の方に配慮したもやっとした表現しかできない状況なのだけども。あと、当日の私が恐ろしいほどのスイマーに襲われていたので、記憶が定かでなくうろ覚えの内容ですいません的な。全部で四人の方が質問に答えてもらってたと思うんだけど、記憶が四つ分ない気が。うろ覚えなので、間違いがあってもさらっと流して読んでいただきたく。
 まず例のあのシーンについての質問。現実に存在する、水に縁のあるあの都市を選んだのは理由があるのですか? 的な質問だった記憶が。ネタバレに配慮した問い方でしたが、あれはどう解釈したらいいのですか? 的ニュアンスが質問者にはあったように思います。監督はあっさりとベネチアですね、と伏せた都市名を明かしちゃったんですが(笑)。ラストの舞台をベネチアにしたのは、まず絵的な効果で選んだとおっしゃってたと思います。たぶん例の水の上を歩くシーンを映えさせるための選択ですかね。キリストは水の上を歩いたと言われている、いわゆる奇跡の表現としてあれは入れられているらしいです。基本的にこの映画は物理社会で起こったことのみで構成されているけれど、ラストだけはイメージであると。物理社会、たぶん現実という意味だと思うけど、そこで実際に起こっているのは別のことだけれど、ここはある誰かの願いのイメージの世界なんだと。例えば、現実にはある別の手段で2・7・8・9に救出が行われて彼らの戦いは継続していくのだけど、その救出の象徴としてイメージのベネチアでの再会劇が描かれている、と解釈すればいいのかな?
 誰のかは、見ていただいて想像してください、とのことでしたが、個人的には「誰」と特定しづらいとこがあるなあ…。仲間たちの救済が実現している、特に9との交流が深いことを考えれば3のイメージであると解釈するのがベストなのかな?
 仮に、仮にですが、今後神山版009を作ろうって話になったとき、イージス艦上で流れ星を見る3のシーンで終わったらもう先が作れないじゃーないですか。主役級の生存の可能性をにおわせるシーンを最後に入れることで次につなげられる作りにしたとも考えられます。

 あと、質問の順番はいい加減で恐縮なんですけども。神山さんが一番好きな原作のエピソードはなんですか? という問いには、やはり完成度では「地下帝国ヨミ編」で好きでもあるんだけども、今回の映画のために原作を読み返しているうちに「天使編」「神々編」への思い入れが強くなったとおっしゃってました。ヨミ編ほどのエンディングを作った作品を再開して、あれを越える話をもって物語を完結させなければならないという作家としての重圧を抱え続けた石森先生の心中を思うと、この二作の位置づけは特別だとのことでした。中断したとはいえ、この二作は確かに野心作ではあったからなあ。私はクリエイターとはほど遠い凡人だし、口を開けて完結編ができるのを待っていた末端のファンに過ぎないから、巨匠の苦悩など爪の先ほども想像できないけど、神山さんはプロとして作品を作らねばならない立場だから思うところがたくさんあるんだろうなあ。
 私が個人的に009の完結編として待っていたのは、やっぱ永遠に「天使編」なんです。

 今作についてもう一つ、注目の天使の化石についての質問もありました。8さんが発掘したもの、イスタンブールの家の中庭やサミュエル・キャピタル社にあったオブジェと、月のあれは違いますよね? という問いには「違います」というお返事でした。そもそも大きさが明らかに違いますよね。8の写真の化石と月のあれでは。
 地上にある天使の化石の上位存在を想定してるそうです。月のあれは。地球上にあるのが天使だとしたら、月のは神ってことになるのかな? 少女のイメージで現れてるのは月の人の方かもしれませんね。<これは完全に私の推測です。
 ので、天使軍勢にも階層がある、という設定の模様です。詳細は不明。この辺は次の質問の解答に続く含みの部分かな。

 で。最後のではなかったはずだけど最後に配置した質問は。
 神山さんは今後、009の次回作があるとして撮る心づもりがありますか? というものでした。
 これにもはっきりと「あります」とのお返事でした。作った作品にはどれも思い入れがあるので、次作をという話が来ればぜひ撮りたい。でも、これは作る側が申し出てどうにかなるものではないので。まず作ろう! という企画(と製作費?(^^;)とあいつにやらせよう! というオファーがないとできないことである。ので、もし今作が気に入って、神山監督作として次作を見たいと思ってくださるのなら、その旨をあちこちにアピールしてほしいと。権利持ってる石森プロとか。神山さんじゃない、お金出しそうな側に伝わる形で神山009の次回作が見たいと強く伝えていただきたい、とのお言葉でした。
 終わりに含みを持たせたり、月のあれ、という次回に繋がるネタ振りをしてるあたりも、もし機会があれば、という監督以下の仕込みなのかも。
 監督の気持ちとしては、次作も立体視で撮りたいと言われてました。今回取得した技術を発展させたいという気持ちがあるのかもしれないですね。3D業界では注目もされ評価も受けてるみたいですし。しかし立体視となればまた劇場映画ですねえ。映画はコンパクトでいいんだけど、描写に舌足らずな部分が出て来るきらいもあるから、その辺ちゃんと書き込めるテレビシリーズもいいなと思うんですけども。
 というわけで、神山009がまた見たい方は、twitterでもfacebookでもメールでも何でもいいので、その筋に届くように「次作をぜひ」と訴えましょう。その際は礼節を持って。礼儀正しく。

 この後上映が控えてるので、このあたりでタイムアップとなりました。
 ざるざる記憶でのレポートなんで書き落としが山ほどありそうなんですが、何しろ眠くて。金曜の夜だし。漏れがあっても勘弁で。他に誰か、書いてる人いないかな。あれはそちらで補完してくださいまし。
 質問した方はどなたもまずは神山作品ファンで、かつ009の長年のファンと表明された方ばかりだったんですが、中でもイタリアにファンの知人がいるという方の言葉がおかしいというかなんというか。イタリアではまだ上映の予定はないが、概ね好評のようで見られる日を楽しみにしている。中でも今作では3の人が唯一のヒロインとのことでたいへんうれしい、と言っていたそうなんです。女と見れば口説く、と世間で認知されているイタリア男の地元女性でも3の人がヒロインとして尊重されているのがよろこばしいのか、と。てゆーか、島村、世界でどう思われてるんだよ…。
 009にちなんで、封切り後のイベントを九つやろうと企画されてるそうで、現在新たに井上和彦さんとRE見よう企画が公表されて、残りはあと三つかな。他の地方都市でもティーチイン企画があるかもしれないので、その際は出席したどなたかがまたレポート書いてくれるとよいなー。
 以上を持ちまして、T・ジョイ博多での神山監督舞台あいさつのレポートとさせていただきます。ご清聴ありがとうございました。