せまい脳内行ったり来たり/放浪編

もはや主にTwitterのまとめだったのに、2018年9月で途絶えている…。

中国版「天と地と」?

 相方が借りてきた「英雄(HERO)」をようやく見る。去年の夏やってたチャン・イーモウの映画。題材がチャン・イーモウっぽくないところに興味があり、CMの色彩がめっちゃきれいだったもの期待の元でもあり。
 内容についてはアマゾンのここでも読んでいただくとして。
 わたくし的には、これはお話に感動するタイプの映画ではなかったです。筋立ては、まあ、感動的といえば感動的だけど、美々しい画面と淡々とした筋の運びで感情がむらむら揺さぶられるという感じにはならない。事態を三回ほど語り直すあたりは「羅生門」っぽいのかな。あれは結局本当のところは藪の中だけど、この話はどうやら最後の話が「真実」であるらしく。(だとしたら、無名さんは話を作るのヘタよねー。通俗的過ぎだって)
 中国って人が住んでるところでもとんでもない景観の場所があちこちにあるんで、CG使わなくても驚きの地形が撮れるんだけど、そこに懲りまくったCG加工が入ってるから、もう何がなんだかって画面になってる。作り過ぎって気もしないでもないが。
 ある意味武侠物語だし、俳優さんもワイヤーアクションしまくっているけど、この映画血沸き肉踊るって感じにならないんだなあ。様式美の世界?動を撮ってても静を感じる。そういうところも「ああ、無名さんはこれからどうなるの?」「事の真相はどうなってるの?」みたいなどきどき感・わくわく感をあまり抱かせない。むしろ、環境ビデオっぽい気がするんですが、私の心が磨耗しているせいでしょうか(汗)。
 いや、きれいなんですよ。すんごいきれい。ただ、血とか汗とか人の生々しさがあまりなくて、人間の業とかそれを乗り越えて真理に至る過程に俗っぽさもなくて、だから中国の教養書でも見てる気分になっちゃうんですなー。

 むかーし、角川春樹の監督作で「天と地と」って映画がありましたが、これも話でどどんと気分が盛り上がる!ということのない、淡々とした、ぶっちゃけて言えばつまんない映画だったんですが(爆)、映像はめっちゃきれいで。当時、おすぎだったかな、「カナダで撮った日本の四季がほんとにきれい」と言ってた気がするんだけど、あの桜吹雪を見るだけで(レンタルビデオだったら)元を取った気分になれます。
 映画としての完成度は、そりゃ比べたらあかんレベルの差がある「英雄(HERO)」だけど、見ながらなんでか、この角川版「天と地と」を思い出してしかたがなかった私です。

 今ちょっと調べたら、「天と地と」って音楽コムロだったのかー。いやー(笑)。