せまい脳内行ったり来たり/放浪編

もはや主にTwitterのまとめだったのに、2018年9月で途絶えている…。

今どきのヒーロー

 相方が夕食のとき言っていたのだが、「仮面ライダー THE FIRST」の評価が賛否両論なんだそうだ。(職場にソッチ系の人がいて話題に出たらしい)
 まあねえ…。リニューアルデザインの着ぐるみはめっちゃかっこえーと思ったけど。制作費少なかったというウワサだから、でっかいスクリーンで見るのはきついかも。
 何より私的には「企画段階でラブストーリーにすることは決まっていた」という話を聞いた時点でボツ。はああ?ヒーローもので恋愛だぁあ?デートムービーにでもしたかったのか?(そんな無茶な。タイトル「仮面ライダー」にした時点でヲタカップル以外は期待できんだろう)最近はどいつもこいつもストイックさに欠けてていかん。ヒーローはねえ、うまく言葉にできない志のために戦うものなの。見返りとか期待しちゃだめなの。恋愛はしてもいいけど、志と恋愛のどちらを取るかといったら、迷うことなく志でなくちゃいけないの。
 私のヒーロー像はかようにクラシック。だから一人の女を巡って一号と二号が戦うなんて、そんなヒーローになんか助けられたくないわい!その後事態が変わって、二人で共闘してショッカーに対していくにしても。
 今のご時世、「愛のため」というのが一番わかりやすくて一般客の共感を得やすい動機なんでしょうけど。惚れた女とか家族のために戦うっていうのなら、暴力反対!一辺倒な女性も多少は譲歩してくれるし。でも、何でもわかりやすくすればいいのか、他者に伝えようのないもやっとした何かを人は抱えてるんじゃないのか、その伝えにくいニュアンスを行間に書いていってお客を納得させるのは無理なのか。とふと思うのです。
 エンタメにそこまで期待するのは酷なんでしょうか。

 これは私もそうだからエラそを言う資格なんかないんだけど、戦争をリアルととらえられない世代が大勢を占めてから、「戦う」という行為について全面的に銃後の感覚だけで語られるようになった気がしてしょうがないです。実際に戦場に行って武器持って、本意不本意なんか問われるまでもなく生きるために人を手にかける状況に置かれることに思いが及ばないというか。もしくは、ある日突然戦場になっちゃって、いいとか悪いとか言ってる場合じゃなくなった人のことがわからない。そこには「愛のため」以外の何かがたくさんあるはずで、きれいとか汚いとか許されるとか許されないとか、そういうレベルでは語りようもない世界で、でも人間である以上切り離すことのできない部分なんだろうな、ということまではのろのろ考えるんですが。

 戦争なんて大げさなものを引き合いに出さなくても、今は「戦う」という行為への理屈のない情動みたいなものが認められなくなってきてるのかなあ?って気もします。ゲームの「ストリート・ファイター」のキャッチで「強いやつに会いに行く」っていうのがあって、そういう感覚は男性性が大なり小なり抱えている欲求としてありだと私は思うんだけど、最近のお母さんたちのインタビューを聞いてるとその辺もみんな去勢しないといけないみたいな風潮になってきてるような。
 そういう衝動をみんな生まれながらに無意識に持っていて、だからうまく飼い慣らしながらやっていかないといけないんだよね、って男の子たちにちゃんと言ってあげる方が、「戦うとか倒すとか、暴力的なことを考えちゃ駄目」と強制するより大事な気がするのは、私が子どもを持たない無責任ちゃんだからなのでしょうか。
 ヒーロー物語っていうのは、そんなやり場のない「戦う欲求」をどうしたらいいのか?の一番初歩的な教科書だったと思うのです。それが女巡って戦う話になっちゃいかんでしょう…。
 と頑固にも思う私です。少数派でしょうがいいのです(泣)。