せまい脳内行ったり来たり/放浪編

もはや主にTwitterのまとめだったのに、2018年9月で途絶えている…。

生き残った人が決めていく

 やっと、本当にやっとこさ、「FFXII」のオチまでたどり着きました…。普通はこんなに引っぱらなくても十分ストーリー上のラスボスには勝てると思うんですが、序盤から中盤くらいまで寄り道し過ぎました。それもまた楽しかったので、プレイヤーとしては後悔などはありません。序盤であれだけ悩んだガンビットも、今やこれのないRPGをどーやってプレイしたものやら?と思うくらいなじみましたし。ストーリーの点で、開発期間があれだけあったんだからもっと練って厚みを持たせてほしかったという意見が多々あると聞いたんですが、私はあんまり不満はなかったなあ。イヴァリースのそれぞれの国のややこい事情の上に人々の暮らしはあるのだなあという世界の雰囲気は結構好きでした。大灯台でのレダスのいきさつもちょっとぐっと来たし。こういう人がいてしまう帝国という存在の大きさ、自分にとっての「敵」を倒してしまえばことが済むとは言い切れない世の中、というものをかいま見させてくれたので。
 バーフォンハイムのリッキーが「逝っちまった人の気持ちを決めるのは、生き残った俺たち」って言うのだけど、なるほどなーと。もしもその人にやり残したことがあって、それが死に際して気掛かりであったというなら、それを生き残った者たちがやり遂げればいいのです。…でも、復讐はどうか?ではあるけど。復讐したい、という気持ちは、逝った本人の望みというより生き残った人のやり場のない気持ちの落とし所のような気がするから。

 ストーリー部分をやり終えて、「ああ、この話はやっぱり指輪物語なんだなー」と思いました。(別に指輪の丸パクリだと言いたいのではなく、物語構造のことです)で、そう考えるとストーリーにご不満な皆さんの不満の出所がなんとなくわかったような気がします。あくまで「気がする」だけで、アタリと断言するものではありません。私の感覚ってだけの話。
 皆さんの不満の理由、それはこの話が指輪物語であるにも関わらず、ヴァンがフロドではないことじゃないかと(爆)。アーシェが一人でフロド兼アラゴルンをやってしまい、ヴァンの役どころはサムになってしまってます。(ヴァンとパンネロホビット族で、物語の最後にホビット庄ならぬダルマスカの下町に帰ってきて、旅の前から望んでいた「空賊になる」という夢を屈折のやり場としてではなく実現するというオチなんだな、と)個人的には、指輪物語の真の主役はサムなのでは?という気持ちもあるのでそれはそれでいいと思うんですが、世間一般的には主役には世界の事態を大きく動かす役どころが期待されているので、きっと肩透かしをくらってしまったんでしょう。でも、ヴァンがフロドだったらダルマスカの下町には帰ってこれなかったですよ。オキューリアの力が強く及ぶ世界とかなんとかに渡っていかねばならなくなったかもー。<そこまで指輪チックにしてしまわなくてもいいだろー。
 それから、この物語によって世界が大きく改変されたわけではないこと、カタルシスが少なかったことも不満の一因なのかも。「FFXII」って、始めたときからオチの形はなんとなく想像できてるわけです。アーシェが何らかの形で帝国を退けてダルマスカを再興する。その想像以上の何も、エピローグで語られる世界では起きてない。イヴァリースにおける国家間のパワーバランスがほんの少し変化しただけ。オレ(プレイヤーの分身であるはずのヴァン)って、じゃあこの話にとっていったいなんだったの?みたいな、存在感の薄さが満足感低めの原因なんじゃないか。
 私は世界観ヲみたいなところがあるせいか、イヴァリースという世界、物語で語られなかった部分の深さや広がりを感じさせてくれる語り口がわりと気に入ったんで、キャラクタ個々の物語にカタルシスがないことはあまり気にならなかったです。イヴァリースはこれからオキューリアの影響下を離れて、ヒュムが歴史を動かす第四紀(笑)に入ったんだな、その裏でガリフやヴィエラといった神話に近い種族は静かに歴史の表舞台から去っていくのだな、などとエピローグを見ながら勝手に考えたりできたので。そして、この旅を得て他者の望む旗印としてではなく再興されたダルマスカの女王になることを決めた(はずだ、彼女なりの自由の元に)アーシェも、汚れないままの理想を掲げたままのラーサーも、これから這いずるようにしてときには信念を曲げながら各の国を背負っていかねばならぬのだなと。
 その結果、ヒュムが動かす歴史は衰退していくのかもしれないけど、それもまた歴史の有り様というもの。

 ネット的には「FFXII」の物語はスターウォーズ的であるという意見が多いみたいだけど、きっとルーカスも指輪好きなはずだし、スターウォーズも影響受けてるはずだし、と勝手に決めて、というような感想を持ちましたです。
 さて、残りのサブイベントをどうしたもんだか。