「2001年」を見たころ
今週中に「邪魅の雫」が来るのはわかってたんで、つなぎに読むのは薄めの新書に決めてました。相方の棚からてけとーに選んだのは「『2001年宇宙の旅』講義」。最近の新書ってちゃらーっと読めるという印象があって、これも二、三日あれば読み切れるという目算でいたのだけど。甘かった…。相手が「2001年宇宙の旅」だというのがいかんかったのかも。もしくは、元が大学の講義原稿だそうで、ゼミっぽい中身の詰まり具合がさくさく読むのを拒否してきます。くー、もう頭が学問文章についていけないわ。この前に読んだ「行儀よくしろ。」by 清水義範は期待通りの重みの新書でたいへんよかったんですが。(「行儀よくしろ。」がおもしろくないというわけじゃありません。これはこれで非常に素直な内容で共感できました。<毎度えらそですいません)
「2001年宇宙の旅」を初めて見たのは高校の時でした。SFそのものは小学生のころから読んでたんですが、中学くらいから初心者指南本みたいなのを読むようになって、小説にしろ映像にしろ、まずは古典を押さえるべきかなーなんて殊勝なことを考え始めたものの、田舎の高校生には金銭的にも環境的にも使命を全うするのはなかなか困難で。特に映画関係は今みたいに安いDVDががんがん出まくりなんて恵まれた状態とはほど遠く、新作以外はあるかないかわからないリバイバルを念じながら映画の上映情報を見るくらいしかできませんでした。もしくは、一部カットされてるTVの洋画劇場待ち。中でも名作というか怪作というか、「とにかく見れ!」的な紹介のされている2001年は絶対見たい!と熱望しつつ、しかしあまり客の引ける内容じゃないっぽいんで、「早々リバイバルはないだろうな…」と半諦めの作品でした。だから、福岡の劇場でやると知ったときは、夢に見たあこがれの映画を「見るぞ見るぞ、おーおおー」と握りこぶし握って行く気満々。
で。
実際に現物を見て劇場を出てきたとき、私はたぶんハニワ顔をしていたと思われ。
だって、わっかんねーですよ! いきなり猿人! 猿人が出て原始の時代とおもいきや、その時代では作り出せそうもない黒く大きなてかてかの柱が現れて、猿人がおっふおっふ言っていたかと思うと骨が宇宙ステーションになるですよ…。
今ならこの映画を読み解く映画エッセイみたいなものが山ほどあるし、2001年の影響下にあるさまざまな派生作品で下地ができているから、そんなに難解な映画とは感じないでしょうが、まだまだSF初心者・知識全く足りてないだった私にはなかなか高いハードルで。SFファンを名乗るにはこれをちゃんと理解できなければいかんのかー…とちと打ちひしがれた気分になりました。今にして思えばなんとまじめかつ純真なSF好きであったことよ…>自分。
というような青春の甘酸っぱい(?)思い出もある「2001年宇宙の旅」。あんまりわかりやすく読解されてもつまんないよななんて思うのは、私の負け惜しみなのでしょうか。
その、問題の映画。こんなに手軽に見られるようになるなんて。
どんなにCGの質が上がっても、「2001年」の特撮には捨てがたい味がある。