せまい脳内行ったり来たり/放浪編

もはや主にTwitterのまとめだったのに、2018年9月で途絶えている…。

共感できないっ

 で、夜家に帰ったら、BShiで「名作平積み大作戦」が二時間スペシャルをやっていた。これがけっこうおもしろかったのに、最初の40分くらい見損ねたのが残念。調べたら、後日BS2でやるらしいのでこの日にもう一回頭から見なくっちゃ。
 私が見たのは「嵐が丘」の途中から。これと「蔵の中」の変質?愛テーマものも悪くはなかったんですが、やはし醍醐味は最後の純愛テーマ。豊崎社長が正統派の「風立ちぬ」で昨今の「泣ける」がウリのベストセラーにやんわりとイヤミを入れるのもよかったんですが(<よかった?)、その後のオーケンの「狭き門」サイコー。いきなり「共感できない」ですから。
 従姉妹に恋をして、彼女を守っていこうと決意した主人公。なのにその従姉妹は母の不倫に悩まされていたせいか、彼の愛を徹底して拒む。それどころか、妹が彼に恋しているのを知ると、自分は身を引いて彼を妹に譲ろうとする。しかし彼はめげることなく彼女を思うのだが、やがて互いのすれ違いに疲れて彼女から距離を置く。するとその間に彼女は衰弱し、やがて彼女が亡くなるまで彼らのじれったい関係が続くというのである。
 まだるっこしぃいー。アリサがジェロームをきらいならことは簡単だけど、どうも彼女は彼のことをちゃんと好きらしいのです。なのに、なんで妹に譲るよ?
 それって失礼じゃないの?
 なんて思ってしまう私は現代の人で、これの書かれた時代や作者の価値観から遠いところで生きているのだろう、きっと。その価値観の遊離を、オーケンは「共感できないっ」という切り口で見せようとしたのだろう。
 こういう読んだことのない、もしかしたら今後も読めないまま終るかもしれない本の話を聞けるのが楽しい。
 つぶやきシローなんか「モンテクリスト伯」のレビューするためだけに、長大な本を読んだというし。地味い番組だけど好きだなあ>名作平積み。来年度もぜひ生き残って欲しい。