失われた10年
昔々大学の頃、サークル活動の一環でマンガを描いてたことがありました。二本描いて背景とか細々したのを描き込む根気のない自分をしみじみ感じ、一ページを埋める自分の絵のへなーっぷりを思い知って、以降マンガなんてものをちゃんと描くのにザセツしたんですが。
それはともかく。一緒に描くことになった同期の子と下宿というかアパートの部屋でネタ出しの疑似合宿みたいなことをしながら、「私らって甘酸っぱいセイシュンって思い出が少ないよねー」「あんま恋愛にキョーミなかったもんね、当時」「それでマンガのネタに詰まるとは思わんかったわ」「てゆーか、今になって思うけど、あの頃『恋愛? けっ』とか『はずかしー』とか思わず、その年頃っぽいことを一つくらいしててもよかったなあ」「まあね、今さらやれんよね。卒業のときに告白できなかったセンパイをそっと見送るとかさ」「卒業の記念にボタンくださいっなんてのはねえ」「ははははー」と乾いた笑いをかわしたもんでした。
これが私の失われた10年? というものでしょうか。中高生らしい男女のこそばゆくも微笑ましいやりとりなんてのと縁がない十代だったなー。ま、あれはあれで私らしい味気なくもお固い過ごし方でよかったと今では思いますが。
で、先日さるリンクから、その失われた10年を取り戻すってのをやってる方のブログを読みました。30代になって女友達に協力してもらい、大人があえて甘酸っぱい「制服デートをする」って企画をやってるんですが、本人達はたぶん当初は「こんなことやってバカみてー」と読んでる人に苦笑してもらうつもりだったと思うんです。でも、読んでるとなんとなくあんまり苦笑って感じじゃなくなる。
これってアリなんじゃね? と思えてくる。不思議と。
なんでですかねえ。
この年になってまだ「時をかける少女」でしみじみできるのと同じなのかしら。<それは違うと思われ。
でも私は未だに、土日の混雑の中とか激込みの通勤電車の中で流れに逆らって手を繋ぎ続けるカップルに軽い殺意を憶えます。私は失われた10年を克服し切っていないのでしょうか。