せまい脳内行ったり来たり/放浪編

もはや主にTwitterのまとめだったのに、2018年9月で途絶えている…。

こういう視点を望んでいたんだな…

 「深海のYrr」のネタバレ話、その2。

 しばらく前に有川浩の「空の中」を読んで結末にガッカリしたわけだけど、「深海のYrr」はそのガッカリ感を埋めるような話だった。
 ネタバレと前振りしてるんであっさり書くけども、「深海のYrr」は地球上に存在する人類以外の知的生命体とのファーストコンタクト話である。天変地異起こりまくりの、どっちかというとエンタメ寄りな展開だけども、人間とは成り立ちが違う知性についてちゃんと考えてるし、成り立ちが違う知性とのコンタクトの困難とそれによる人間の歴史に大いなる転換が訪れることに触れている。
 うんうん、SF読みの思考としてはそうなるよね。オチとしてはありきたりではあるけども。
 作家はたぶん、物語を書くとき、なぜ自分がそれを書くのかという方向性が頭の中にある。だから、「空の中」という物語は作家にとってファーストコンタクトものであることが最優先事項ではなかったんだろうと読み手なりに理解している。十代の主人公たちの成長物語であることが大事な話だったんだろう。
 それはわかってるけどさあ。わかってるけど、ふつーの日常に戻っちゃう、というのは、社会的にも人類の歴史的にもないでしょー? という気持ちは拭えない。
 「深海のYrr」で起きる大転換ほど派手でなくてもけども、なんかもうちょっと。こう。
 というのは無い物ねだりなのよね。わかってるけどさー。
 思い切り悪く頭の中でぐるぐるしてしまう。これがあるから、有川浩の非日常系の話はフラストレーションが怖くて読めない。