せまい脳内行ったり来たり/放浪編

もはや主にTwitterのまとめだったのに、2018年9月で途絶えている…。

これは。ウケはないな

 自分の目にとまりやすいからかもしれないけど、NHKがプッシュしまくってるように見える春の新番組「火の鳥」。BShiでは先行で六話一挙放映をやってたんで、夕食作りながら見ました。春からの放送番組、しかも全13話のうち、既に出来上がってる分が6話もあるとは。民放とのなんという違いよ。
 「火の鳥」の原作は一通り読んでますが、もう相当前だから各話の細かなところは憶えておらず、見てるうちに記憶がぼやっと蘇ってきたり。原作が手元にないから、どのくらいそのままか、判断できんのですが。
 キャラクタが手塚の丸っこいキャラじゃなくて杉野さんのやたらと等身のとれたデザインになってるのは、話がシリアスだからなのか、OVA版ブラックジャックからの流れなのか。長期に渡って描かれてたために、一作一作絵柄が違うのをどこかで統一しようと考えたからか。今となってはああいう「マンガー」な絵柄はめずらしいから、あれで行ってもらってもよかったのに。その方が手塚らしさが出たような。
 「黎明編」は群像劇というか、グズリ・ヒナク組とナギ・猿田彦組に別れて話が進行しながらもメインにどっかり重心をおかず、状況もスポットのあたる登場人物もどんどん変わっていく。この人、主役でないの?みたいなキャラがあっけなく死んで、それでも命の流れは無常なほどに淡々と途切れることなく紡がれていくのである、という、「火の鳥」らしい話です。物語全体を俯瞰する視点が神っぽいというか。これって、以前市川崑が実写映画化したんじゃなかったっけ?(松崎しげるの歌はよかった気がするんだけど、本編には使われてないのか)
 作画は好みはあろうけど安定してるし、演出も斬新ではないけどテンポよく進んで、見てて安心。な代わりに、破綻直前だけど気持ち惹かれる、みたいな部分もなく、ナギみたいな根性のいい子が出て来るわりに萌えみたいなもんはわきませんでした(笑)。
 続く「復活編」は二話構成でこれで完結なのかな?研究施設に勤めるレオナという青年が事故で瀕死の状態に陥りながらも復活。しかし、彼の目には人間の姿が無機物にしか見えない。やっとめぐり合った美しい人間の少女は、実はロボットで、と昔読んだときはかなり衝撃的な話だったんだけど。なんか、記憶と合致しないなーと思ったら、かなり話がアレンジしてありました。ってーか、原作度は20%くらい?レオナの割とクールな性格付けや地球の自然の復興を目指しながらも自殺した父がいるとかチヒロとのその後とかだいぶ違ってます。しかも、ロビタに関する後半のエピソードが全部カット。ロビタ、好きなのに。原作ファンの評価も割れそう。(シナリオがわたくしの苦手な長谷川圭介なのよねー。どうりでヘンな方向にわかりやすい話になってるわ)
 これも作画的には安定、筋立ての変更が気にならなければ、可は出る出来だと思います。のめりこんで「次も見るわ!」って気分にはならないのは、私がスレたせいなのか、作品がおとなしすぎるせいなのか。
 でも、やっぱ、今時は萌えアンテナを刺激できないと作品評価が上がらないのではないでしょうか。お子様に見せるには多少むごさもあるし、どの辺を視聴者層のコアと考えたのか、ちょっと読めない。(手塚で「火の鳥」という題材を選んだ時点で、萌え方面に行くのは考えられんけど)

 ↑とか書いといて、そう言えば最近NHKでは見た目地味ーな「十二国記」がそこそこ当たってるのを思い出しました。あれは絵柄的にも話的にも「萌えー」には行きにくそう。でもやたらと再放送が多いってことはニーズがあるってことだろうし、時間帯も遅めがあったりするのは年配(?)の視聴者がけっこういるってことかしら。ああいう堅実路線にお客がしっかりつくあたり、さすがNHKと思ったり。

 今回虫プロのサイトであらすじを読んで、個人的に読んで一番おもしろかったのは「鳳凰編」だったなーと思い出しました。人の善悪が時を重ねるにつれて変わっていったりするのが、子どものころは斬新だったんでしょう。また読み返したら、印象が変わるかもしれませんが。
 太陽編って読んでないなと思ったら、晩年に「野生時代」に連載した分か。さすがにそのころはもう、手塚さんのマンガは読んでませんでした。ほんとに最後まで現役でマンガ書き続けた人なんだなあ。

 スタッフリストを見てたらもんのすごい懐かしい名前が並んでてビックリした。羽根章悦さんとか五武冬史さんとか、現役でやってらっしゃるんですね。<失礼か?