せまい脳内行ったり来たり/放浪編

もはや主にTwitterのまとめだったのに、2018年9月で途絶えている…。

今週の流刑地・ミニ

 毎回ボヤいてはいますが、突っこみは好きな方なので苦痛ではありません>marumasaさん。
 と、個人宛のごあいさつで始まる今週の「愛の流刑地」は、年末年始の休みに入りますので短縮版で。本編も会社で読んでいる人がえろシーンを読み逃さないように、あるいは自宅で読んでいる人が家の人に見つかって気まずい思いをしないように配慮されているのか、ここのところおとなしめの展開です。まあ、淳ちゃんのことなので、残りの日数でドラマチックに話が転び、お正月にお年玉的サプライズを用意しているかもしれません。私は読めませんが、却って好都合です。
 さて、例によって続き機能編スタート。

 お友だちと飲みながらコイバナに花を咲かせるきくぢ。話している内容はまるで高校生か?ってくらいに初々しく、よもやお友だちも二人きりで会って二度目には会話などの精神的前戯もなくいきなり押し倒しモードに入った、上に避妊にも性病にも思いを致さない老いたケダモノだとは思いもしないでしょう。きくぢはこのお友だちをまだ若いのに分別くさくなったとか、恋愛癖をなくしてつまらない生活を送ってそうだとか受け取っていて、今までの落ち目人生のひがみの反動なんだか「精神的に若い自分」を堪能していますが、私から見ればこのお友だちの感覚の方がよっぽどマトモに見えますけど。
 ってゆーか、恋愛癖とか外に女とか、既婚でも当然みたいに話してる男性陣はかなり呑気な人たちですな。自分が「つまんねー。別の女の新鮮な恋愛してー」と思ってるときは、相手も概ね「あー、こんな腹出たデリカシーのない男うんざりー」と考えてるわけで、しかも昔の女性と違って行動力があるからちゃんと自分のオタノシミも設けてますわよ。(それが実際に肉体関係を持てないヨン様相手であっても、アナタに対するより時間も手間もお金も惜しみません。むしろ、具体的な「得」が期待できない対象にアナタより情熱を注ぎ込んでいるのだから、アナタの価値はそれ以下ってことに。いや、ふつーの奥様方のはただの息抜きだと思いますが。きくぢくん的思考回路の既婚者の皆さんはよくよく考え召され)
 だからこそ、きくぢくんは冬香と関われているのでして(もっとも冬香が『恋』してるとは、渡辺センセの脳以外では解釈できないんだが)、自分だけが役得な身だと浮かれているノー天気さはどうしたもんだか。巡り巡って、因果は回る糸車。きくぢは今のとこ独身だからいいとしても、読者の熟年世代は自分も冬香の夫かもしれないくらいのことは考えてみるべきです。
 とて。今のきくぢが小説を書くのに必要なのは、恋ではなく現代的な言語センスではないかと思われます。「愛の暴力団」にもそーとー脳ショックを受けましたが、「恋の許可証」なんてザ・ピーナッツの時代の歌謡曲か?みたいなフレーズをひねりもなく発想してしまうシーラカンスのような感性はいかがなものか。恋愛小説でベストセラー入りを果たそうとすれば二十代女性のマーケットははずせませんが、このセンスではレトロと言いくるめるのも困難です。そもそも冬香をモデルにした話じゃあ、全くコア世代の共感は得られないでしょうけども。
 恋愛小説のトレンドをまじめに分析する気もないきくぢは、友人のおだてに乗って冬香との「恋愛」を糧に一作モノにする魂胆です。野心が恋心(?)に火をつけて、冬香とまたまた会う算段をつけようと熱心にケータイメールを送信。人妻との恋のままならなさに懊悩しつつ、交通費とホテル代のそろばんをはじくのも忘れていません。私も、独り身の熟年男が夜中にぷちぷち人妻を誘うメールを打つ姿にロマンを感じるには、きくぢ並みにスレすぎました。
 なんかねー。冬香に惹かれたのはファンだと言われたから。(いや、怪しい電波を受信したせいだったか?)深い仲になったのは、相手が控えめで拒絶しないタイプだったから。そして、また会おうと躍起になるのは文壇に返り咲くための作品を書けそうだから。でも、金勘定はぬかりなく。
 金がそんなに気になるか?結局、己の野心なりプライドなりを満足させたいだけなのか?
 いいです。俗物なのは全然おっけーです。人間なんてそんなもん。ただ、そんな煩悩丸出しの熟年おやぢに、冬香を救い出す「騎士(ナイトのふりがなあり)のような」なんてオトメちっくなことを言われちゃあ、吹き出すしかないっすよ。アメリカ映画によくいますよね。困惑するヒロインに「君を困らせているのはこいつだな!」とニカっと笑いかけて本命君を殴り倒す脳みそ筋肉男。「美女と野獣」のガストンとか。ああいう人を思い出してしまいます。
 こんなきくぢと関わる不可解な女が冬香以外にもいるってのがおやぢワールドの便利さ。冬香よりさらに若い二十代後半の由紀(どうでもいいが、冬に雪かよ)は、それでもきくぢがしょぼい男だってことは気づいている模様。これから別れ話?修羅場ったりするのかしないのか。きくぢの度量の狭さが再び炸裂しそうで注目の展開です!(と、やる気なく勢いつけてみたり)

 現時点での私の、この作品に対する貴重な興味の対象は「冬香の夫はいかな人なのか?」くらいでしょうか。ここまでしょうもねえきくぢにすら魅力を感じてるらしい冬香に説得力を持たせるためには、さらにどん底のダメ男を出すしかないでしょう。DV男とか、酒とケンカとバクチで女房質入れ目前とか姑とめちゃくちゃ折り合いが悪いとか(こんなアナクロな設定、今時どうよ?だけど、すでにアナクロだから大丈夫)、輪をかけた浮気であちこちに女と子どもを作りまくり男とか。でも、冬香の服のセンスはともかく、モノはいいのを着てるみたいだし、脱がせてみたらおやぢ好みの傷一つない白い肌らしいし、ビンボと暴力は今更使えそうにないんだよなあ。どうする!渡辺センセ。
 後は冬香自身がめんどくさい恋愛が好き体質ってのがアリか。これが一番無難かな。

 ああ、ミニと書いたのに、全然ミニになってねえ。