せまい脳内行ったり来たり/放浪編

もはや主にTwitterのまとめだったのに、2018年9月で途絶えている…。

「Q.E.D 熊野の残照」、読了

Amazon.co.jp:本: QED ~ventus~ 熊野の残照講談社ノベルス
 やってきました、ミステリ界のじれったい二人。タタルさんと奈々ちゃんです。と言っても、この本が出たのは今年の始め。もう次が出んじゃないかと。
 このシリーズに関しては、もはやミステリではなく日本史ウンチクものと理解してますが。それでも通常全体の構成比がミステリ6:ウンチク4、やってもミステリ5:ウンチク5くらいに押さえられていたように思うんですが、今回ついにミステリ2:ウンチク8くらいのバランスに!ウンチクも、一つの謎解きと言えないこともないこともないというか…。おもしろくないわけじゃないからいいんですが。
 今回は一人称で語り手が例の三人組+奈々の妹沙織以外に設定されているのがミソ。レギュラーメンバーが他人から見たらどういうキャラなのかがわかる。<キャラ小説ですか!<だって、でっかい事件ないし、その辺を読むしか。
 やっぱ奈々ちゃんはタタルには不釣り合いな美人なんですね。その上、女性から見ても「いい人」と思うくらい性格もいい、そしてちょっと天然ボケ。そんな奈々ちゃんとタタルの関わり方は傍目に見るとかなり変。想像通りに変。想像以上に変。というようなところに読みどころがシフトしてしまう、そんな出来なわけです。今回は。
 奈々ちゃん、28かよ。今時は三十代に食い込んでも全然問題ないと思うけど、相手がタタルじゃ五十になっても話まとまらねえんじゃないかと。タタルと比較したら、「美味しんぼ」の山岡さんの方がずっとその方面に明るい。
 シリーズも十冊を重ね、ミステリとしてもこの先この傾向でやっていくのかしんどさが出てきましたが、メイン二人の扱いをどうするのかもそろそろ考えないとちと不自然かも。このままじゃ、熊つ崎と沙織ちゃんの方が先にゴールインしそうだぞ。

 ウンチクものとしての本編にすら触れてませんね。語り手の女性が二十代半ばという設定なんですが、あまりにしっかりクールでドライなのがなんとも。つらい境遇に育ったという設定だけど、心がかなりメンズです。