意外とショックないな
このところ世間を騒がせていた太陽系の惑星は何個?問題にようやく決着がついた模様です。一時は12個に増えると言われていたのが、冥王星が矮惑星と再定義されて惑星としては8個に。SF者として長らく宇宙に慣れ親しんできた身としては、この決定には何かしら感傷的な気分に…。させられるかというとそうでもなく。
だって、惑星の数こそ物心ついてから変わってませんが、読んだSFにおける太陽系の惑星像って書かれた年代ですごく変わってきたわけで。こないだ読んだ「火星ノンストップ」の水星は太陽にずっと同じ面を向けていて境界にあたるトワイライト地帯にのみ人が住めたりって設定になってましたが、ある時期までこの水星像は科学的に正しいものとして多くのSFが採用してきました。が、今ではすっかり「そんなわきゃねーだろ?」になってしまってます。キャプテン・フューチャーシリーズの太陽系惑星描写なんか、今読んだらまるっきりファンタジーだし。
といういきさつからすれば、科学の進歩によって宇宙の定義が変わるのは普通なのではないかと。むしろ、冥王星と同じくらいの距離に同規模の星がたくさん見つかっているというような話にわくわくさせられたり。
そもそも惑星かそうじゃないかなんて地球の上のちっぽけな生き物がつけたラベルの違いにすぎないわけで、冥王星そのものが消えてなくなったりはしないのだし、ニュースで感傷的なコメントを聞くとちょっと違和感を感じたり。
だもんですから、朝日新聞の松本零士御大のコメントにはどっと脱力させられてしまった…。こういう科学的定義の問題に感情を持ち込むのはどうかと…。「理論だけでなく、情緒感を大事にしながら判断してほしい」と言われてもなあ。そんなことを言ってたら諸外国には諸外国の冥王星感があるだろうし、そこにも配慮してたらまとまるものもまとまらないのでは。