せまい脳内行ったり来たり/放浪編

もはや主にTwitterのまとめだったのに、2018年9月で途絶えている…。

「深海のYrr」、読了

深海のYrr 〈中〉  (ハヤカワ文庫 NV シ 25-2)

 長かった…。<一冊500P越え×3冊。
 そして、うなぎは出なかった。<イールってうなぎだと思い込んでいた。綴りが違います。
 いわゆるハリウッドスペクタクルっぽい、世界規模というか世界の海で人類を脅かす事件が多発! の内容を説明するのにそれなりにページが必要で、そこそこ数が多い上に個々に事情を抱えるメインキャラのバックグラウンドをそれなりに書き込んであるから長い。長いよー。てーか、アナワクくんのトラウマってあんなに書き込む必要があったのか、よくわからんよ…。
 キャラの事情が細かく書かれてるって言っても、掘り方が今時のラノベとかとは全く傾向が違うし、そもそもツンデレの美少女とか出ないし。メインが科学者と軍人だから、だいたい年齢はアッパー気味です。もっとも、ラノベだったら天才美少女科学者とかツン系の軍人少女とか出してくるだろうが。問題はヘタレで凡人の少年をどうやって主人公に送りこむか、か。
 結構ハデハデな活劇ものなので、特に中巻の半ばからはさくさく読んでいけると思います。ハリウッドが映画化権を買ったというのもよくわかる。でも、この話って実はアメリカ悪役じゃない? 長いから中身圧縮されるのとキャラ整理されるのは確実だけど、アメリカが悪役のままになるんだか。<ならないと思ってます。
 上巻をなんとか乗り越えて、続きを読みたいと思えれば、なかなか楽しめるエンタメ小説かと。ラストあたりのあの人とかあの人とかの下りはちょっとあっさりめに感じたけど、今時の日本の小説の傾向に慣れてるからかも。それから、欧米の人たちの日本の捕鯨に対する感覚にはちょっともにゃった。最早捕鯨は感情論の領域に行ってるからなあ…。
 エコなんとかっていうふれこみは、そんなに真に受けなくてもいいと思われ。あと、新鮮な海産物食べるのが好きな人は、読んでる間悲しくなるかもしれない。

深海のYrr 〈下〉  (ハヤカワ文庫 NV シ 25-3)

 ネタばれになるのでアレですが(なので、読みたい人は以下を飛ばすこと)、

人類以外の知性とのファーストコンタクトものって最早こうならざるを得ない感じです。成り立ちが全く違う知性が、人間の、人間としての思考とか倫理とか生物としての有り様をさくっと理解して価値を見出せるか? っていうと、無理だよねと。人間が神の似姿だとしたら、神様ってものすごく出来の悪い知性体です。
 アブダクションなんて、なんで起こるねん? と思うくらいで。
 スターウォーズ的な、完全に起源の違う宇宙人との共存世界って、もうファンタジーでしか書けないのかもしれない。