せまい脳内行ったり来たり/放浪編

もはや主にTwitterのまとめだったのに、2018年9月で途絶えている…。

「世界カワイイ革命」、読了

世界カワイイ革命 (PHP新書)

 今、世界中で日本の「カワイイ」が大人気!
 作者が実際に体験した世界各地の「カワイイ」好きの若者たち、彼らの参加するイベントについてをレポートした本。
 読んでてちょっと書き方がくどいなーと思った。日本人が気づいていない、各地の若者たちの「カワイイ」愛を伝えたい! という熱気の成せる技なんだろうけど。
 アニメやマンガをとば口に、ネットを情報源として日本のファッション、特にカワイイものに熱狂するフランスやイタリアやタイや韓国の娘さんたち。日本人から見れば、金髪碧眼にばんきゅっぼーんなスタイルを持つ欧米人がロリータな服を着たら日本人なんか眼じゃないわ、と思うけど、現地の人たちにしてみれば、日本発のファッションは日本人の外見を持って着てこそオリジナルのようで、だから日本の娘さんが着ているのが一番「カワイイ」のであり憧れの対象なんだそうです。
 …わからん。しかし、ファッションとはそういうものなのかもしれん。
 彼女たち(もしくは彼たち)はロリータ服や制服を着ると本当の自分になれた気がするといい、「ロリータは私の生き方なのです」とまで言ったりする。服装が人のポリシーを担う部分があるのはわからんでもないが、そこまでを口にする娘さんがこんなにいるのもなんだか。思春期とか若い頃はいろいろと煮詰まったり現状が窮屈だったり不満を感じたりするものだけども、自国にない、ネットの向こうの国の文化にその鬱屈を打破するものを見ているのだろうか。
 当のその国に住むものとしては、過大な期待をされてもなー、と恐縮してしまいます。
 文化というのは片思いであるなあ。日本の娘の学生さんは未だにルイ・ヴィトンのサイフなど持ってたりしますよ。

 日本以外の国では成人した女性が子どもっぽい「カワイイ」ものを好むのははばかられるところがあったと聞いたことがあります。アメリカなんかはセクシーな女っぽさを身につけてこそ大人の女、みたいな。私のようにエエ年こいてキャラグッズに眼がないなんて、許されぬ。
 でも、やっぱ可愛いものはいくつになってもかわいいよねっ。
 と言ってもいいんだ、という開放感を日本の「カワイイ」から知ったというのはあるかもしれません。今や各地のセレブがキティちゃんグッズ好きを口にするらしいし。もっとも、「タブーに反抗できる私」を意識してのことかもしれず、可愛いものを好むことが世界的に許される雰囲気ができたらすっかり廃れるかもしれないけども。

 私は一般人なので↑のような読み方をしたけども、娘文化に疎いビジネスマンの皆さんはいろいろと学ぶところがあるかもしれません。
 ギャル文化なんてけっ、というか、よくわからんもんね、的な感覚のおじさまたちは、カワイイも捨てたもんじゃない、どころでなく、輸出兵器として旬な時期にもっとちゃんと評価した方がいいんだ、みたいな。著者が言うように、資金力の乏しいカワイイ系ファッションの担い手たちにもっと力を貸して海外進出の後押しをしてあげよう、とか。

 ただ、サブカル系(今や死語?)が好きな身としては、官とか資本とかが表舞台に引っ張り上げちゃうと、そういうものの味わいって失われるような気がしてしまうんですよね。韓国や中国がアニメやアイドルを国の輸出産業としてバックアップしてると聞くと違和感を感じるのもそのせいで。
 むずかしいところです。