せまい脳内行ったり来たり/放浪編

もはや主にTwitterのまとめだったのに、2018年9月で途絶えている…。

今週の流刑地

 「探偵ナイトスクープ」によれば、日本の三十代女性は水を向けると一曲ぐらいはピンクレディの歌を振り付けつきで踊れるそうです。しかし。冬香、37才、人妻、が踊れるのは「風の盆」たらいう盆踊り。いったいいつの時代の三十代なんだ。京都ではピンクレディなんて下品なものは情報封鎖されていたのでしょうか。それとも、土蔵に押し込められて育った幼少期を持つとか?謎が深まるヒロインが熟年の妄想をかき立てる「愛の流刑地」、ああもう、どうでもいいっちゃいいんだが。
 例によって以下は続き機能にて。

 言うほどたいしたテクもなく結合作業を果たしたきくぢ。やることやったら情緒もなくヒロインとホテルでお別れしてしまいました。子持ちの冬香の事情もあろうが、この二人、会ってろくな話もせず、食事も、お茶すらしないまま。用件のみのお付き合いで、お金こそもらってないけどホテトル嬢とどう違うのかようわからん。もしかして、子どもは単なる言い訳で、冬香は次の男のところに行ったのかもしれません。
 きくぢが冬香に対してえろ妄想と所有欲から沸く興味しか持たないのは、もはや突っ込む気にもなれないからほっとくとして(今時、「一盗、二卑、三妓、四妾、五妻」なんて時代錯誤な言葉を見るとは思わんかった)、このヒロインも情の薄い女ですな。女性ってほんとに好きになった男のことって何でも知りたくなるものです。食べ物は何が好き?好きな映画は?どんな曲を聴くの?休みの日は何してる?子どもの頃、何して遊んだ?たわいないことでも知りたい。くだらないことでも、聞けば宝物のように思える。言葉を選んで、タイミングを見て、少しでも相手に近づこうとするもの。それがこのヒロインてば、きくぢに会ってる間にしゃべった内容といえば「ええ…」「ああっ」「ごめんなさい」。後「ください」か?ぶっちゃけ、きくぢ本人には全然興味ねえな。(じゃあ、何に興味があって関わってるのかも疑問だが)渡辺センセとしては別の表現のつもりかもしれないけど、女性から見ると他に解釈のしようがない。
 ああ、みみっちいきくぢのことだから「食べ物は何が好き?」と聞けば「高級料理を食わせろってことか?」、「好きな曲は?」と聞けば「コンサートに連れて行けってこと?」などとビンボくさい勘ぐりをやらかしそうで、気を遣ったのかも>冬香。<かなり好意的な解釈。
 だいたいきくぢもなあ。今時の55才としてはしょぼくれ方が半端じゃありません。だって、小田和正って50過ぎよ。忌野清志郎もそうだし、糸井重里がちょうど55くらいか?そういえば、アルフィーも50過ぎたんじゃなかったっけ。ド田舎の窓際サラリーマンならともかく、まだまだパワフルにこれからの人生を感じさせる人がたくさんいる世代じゃないのか。きくぢのように早々に生臭い枯れ方してるってどうなんだか。小説家として返り咲きたいとか分不相応な野望を抱く以前に、人間として返り咲け。現在七十代の渡辺センセの考える五十代は、しかしこんなもんのようです。どうですか?現在五十代の皆さん。

 何のかんの言っても不思議な55才と37才のめくるめく(って表現が好きそうです>渡辺せんせ)不倫は始まってしまいました。離れている間もえろ妄想に余念のないきくぢを見ていると、こういう輩がいるからちょっとメルアドさらすと出会い系とかバイアグラとか見たくもねえ海外のもろ見せエロサイトとかのDMメールが大量に送られてくるんだと憤りが新たになってきます。
 しかし不幸なのは冬香の夫と子どもですなあ。自分が間男のくせに寝室は別にしてて欲しいとか、十年も経てば男は女房に飽きて性関係はないだろうとか、でも押し倒されたら抵抗できまいとか、冬香と一回エッチしただけで自分の女であるかのようにきくぢに敵愾心を持たれる夫もかわいそうですが(てゆーか、限りなく身勝手なきくぢの妄想だけで連載を一回持たせる渡辺センセもどうかだが)、子どもはもっと悲惨。ビンボくさいきくぢは冬香にどれほど愛と名づけた性欲を語っても、「君の子どもなら君も同じだよ」なんて言ってもろともに受け入れる、ような度量の広さは絶対に持ち合わせてません。むしろ

 かわいい盛りの子どもすら捨てさせて二人で愛欲におぼれていく。人の道に外れた行為と世間はそしるであろう。自分が冬香の夫の立場なら、絶対に許しはしまい。菊治の中の冷めた部分も今なら引き返せるとささやいている。だが、すでに対岸に立ってしまった菊治には、もはや戻れぬ道を冬香と歩き始めているのだとわかっていた。たとえこの世のすべてと切り離されても、この愛を極め尽くすまで冬香と別れることなどできない。冬香もまた、愛しい子よりも菊治とともに愛の地獄に生きる覚悟を決めたようである。
 (以上、わたくしの妄想による今後の展開予想)
 とかなんとか、恐ろしい自分本位解釈機能で状況を判断し、陶酔してしまいそうです。
 この世代のおっさんたちが一番母性神話に毒されてて、最近の母親は身勝手とか自分のことしか考えないとか避難するわけだが、一盗の魅惑の前にはあっという間に宗旨替えするのであろう。やれやれ。