「あのころの未来」、読了
星新一の作品をモチーフに、最相葉月が科学の今について語るエッセイ集。依頼が依頼だったせいか、全体にちょっと説教くさい雰囲気がある。それがもったいない感じ。もう少しユルい内容のものも混ざってると読みやすかったんだけど。
でも、いかにも今風の科学的題材の導入に使えるネタがいくらでもあるとは、さすが星新一。ダイジェストで紹介された内容に「ああ、そうそう、こういうのあった」と懐かしい気持ちになる。
私も日本のSFというとまず「小松、星、筒井」であった世代だから、当然星新一のショートショートは浴びるように読んでいる。でも、言われてみれば最相葉月氏同様、長く読み返してないし内容もうろ覚え。短い話を練り上げてまとめる大変さを星先生が語っておられたのは読んでいたのに。すみません。(枚数少ないと、必然的に原稿量も少ないしのう(涙)。作品の普遍化を図るために作品には惜しまず手を入れていたというお話も聞く星先生なので、それでも補えなかった点があるとしても、21世紀になった今でも十分読むに耐える内容のはずだし、これからもスタンダードとして残っていてほしいです。ふらっと本屋に行ったらいつもあって、「おー、久しぶりに星新一を読み直すかー」なんて言えるような。
というまでもなく、このところ書店店頭で星新一の著作を見かける機会が増えてるんですが、再び(三度?四度?)波が来てるんでしょうか?